妄想小説(閑話)「離縁状」
ある日、現れた「あいつ」に戸惑う女。
女は一時、同居を覚悟するもやはり耐えられずに。。
えぇ、ようやく離縁状(コンバット)を置きましたの。一つじゃありません。だって、あいつ(ゴキ様)に気付かれないと意味がないでしょう?
4つ置きましたわ。香港の狭い部屋だと十分だと思います。これで、私の気持ちに気付いてくれると思うんですの。
一時は、お互い生き物ですから、一緒に暮らすくらいはかまわないだろうと譲歩した時期もございましたの。でも・・・、やっぱりダメでしたわ。
ある日、あいつの姿をしっかりと捉えてしまいましたのよ、この眼で。私が今まで家の中で見た事のある香港のゴキ様って、小さくてナヨナヨしていて、動きも鈍いかったのですのよ。なのにあいつは大きくて、やたら俊敏で絶好調のアスリートのようでしたの。本当に香港のゴキ様かしら?日本からの密入国?あら、やだわ。
本当、やたら元気に満ちあふれていて、ワタクシの家で勝手に何を食しているのかしらって不愉快にもなりました。
これで出て行ってくださればいいのですけれど。。
何ですの?・・・。きっと大丈夫とおっしゃってくださるのね。えぇ、私もそう期待しておりますの。ただ、離縁状で卒倒して部屋の真ん中で倒れるような事がないように祈っておりますわ。