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イギリス船で日本人労働者が虐待される?領事館が調査

明治10年(1877年)8月9日、永野由松さんと渡辺角太郎さんが領事館にやってきました。

 

彼らの話によると、イギリス船(帆船)の船員になり横浜から香港へ来ました。ところが船内で虐待がひどく、耐え切れなかった二人は香港に到着後、船長ときちんと話し合いを行い、契約を破棄し香港で船をおりました。しかしそこでもらった賃金は、乗船前に話し合った金額と程遠く、二人は日本へ帰るだけの費用にもなりません。そこで交渉してもらえないかと領事館を訪れたそうです。

 

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領事館は、船や船長の名前を尋ねますが、二人はそれすら分からないと言い、これでは交渉どころではないありません。そこで領事館は港事務所へ出かけ該当するイギリス船を探すことにしました。

 

その時に港にあった船は5、6隻のみで、全て牛庄(遼寧省)から来ており、探している船はなさそうでした。それに加え、永野さんと渡辺さんの両名からは有益な情報も得られず、領事館が交渉をしてあげたくてもどうしようもありません。結局は日本へ帰る費用を領事館が負担し、二人を帰国させました。

 

安藤領事の報告にはこうあります。

 

「永野さんと渡辺さんが虐待を受けたと聞きましたけど、何の証拠もありません。賃金が契約よりはるかに安かった件については途中で契約破棄してるわけですから、予定より安ぅなってしまう可能性かてあります。

 

もちろん船長が無罪とは言えません。ただし二人が乗船した時は契約書がなく、パスポートすら持たずに乗船してますやん。困ったことが起きたから、領事館に駆け込んで来ましたけど、結果的には何もできひんかったですわ。」

 

永野さんと渡辺さん二人はトラブルに巻き込まれたとはいえ、無事に帰れただけ運が良かったのかもしれませんね。

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