香港、小さな場所だと思いきや。

香港の過去や現在を、斜め上の視点で観察。

偽造コイン流通経路。香港の日本領事館の調査。

新コインがそれほど流通していない時期から偽造コインが出やしないか、日本領事館は戦々恐々としていました。それは旧コインの偽コインが出まくっていたからです。

 

アモイ(廈門)で偽物の流通が確認されていました。明治9年6月15日頃、当時の廈門領事である福島さんが偽造コイン調査依頼を香港の安藤副領事に送っています。

 

「明治7年に鋳造された1元銀貨は偽造コインがすんごい数あるやん?これって香港から輸入した銀貨の中に混ざってたから、うち(アモイ)から香港の銀取扱店を訴えさせてもらったことがあるけど、1元銀貨のサンプルを送るから、受け取ったら貴地で偽造コイン製造者がいるかどうか調査してな」

 

安藤副領事が回答します。

 

「調べたよ~。

一番多く持っている東洋銀行(東藩匯理銀行)(※1)を調査したけど、貴方が言わはる偽造コインは見つからんかった。それから香港は偽造コインの取り締まりがめっちゃ厳しくて、そもそもで偽造は大変やねん。銀取扱店の話によると、もし偽造コインがあるとしたらそれは広東か福州やわって。貴地で出回ってるっていうからには、多分香港が(偽造コインを)輸入してるんかな。広東から福州から出てるって知らんのやろな。」

 

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写真はムンバイの東洋銀行

安藤副領事、引き続いてさらに調査し、再度回答しています。

「この前の偽造コインの件で、広東に行って一体の調査やりましたけど、それっぽいのは見つからんかったわ。あそこでは上海香港銀行(HSBC)と東洋銀行の10元と25元の偽造紙幣が出回ったことがあるけど、出処不明やったわ。不明やけど世間一般には広東や中国国内から出たと思ってる。

 

ところが実際、偽造コインはおそらく欧州人が自国で鋳造してるみたいやわ。それを広東を通じて中国人の手によって流通してしまってるから、やつらは中国人の詐欺行為のせいにしてる。

 

日本の偽造コインの件やけど、世間は中国人が偽造したと思ってる。もしくはさっき言った経路で流れたかもしらんし。いずれにせよ、二度と起こらんように気をつけなあかんな。」

 

話は変わりますが、日本の通貨鋳造機は、香港から6万香港ドルで購入したものです。香港は1866年に製幣局(通貨を発行する機関)を設立。同年4月8日から製造開始しますが、7万香港ドル分を製造したものの理想通りにいかなかったと1868年に閉鎖。それで要らなくなった機械を日本へ売ったそうです。

 

 

※1: 1842年創業した香港初の銀行、および通貨発行銀行(1845年より)。ただし1884年倒産。

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