近代史妄想小説〜本妻物語〜(6)
この小説は史実をベースに書かれていますが、個人的な妄想です。
皆様との解釈の違い、不愉快な表現があるかもしれませんが、それは妄想なのでお許しください。
では、お楽しみください。
中には、アメ介や英太のように「東洋のサロン?いけてね〜!」と言っていた人達もいた。
しかし美しい調度品、サービスが行き届いた心地よい撫子サロンに魅せられた彼らの家族は、裏口からコッソリ入って、サロンを楽しんでいた。(車会社、銀行の設立)
そしてサロンは、有名な社交界の場となった。
「清美がサロンのオーナーじゃないの?何で撫子が出しゃばってんの⁈」
撫子が社交界にて大活躍する中、お香は時折、そんな意味のわからない言葉で英太を攻めた。彼女の愛人英太までもがビジネスのため、と撫子サロンに足繁く通っていたのが気に入らない。
「そうだな。最近はちょっとやり過ぎだな。私たちのビジネスもやりづらいよ。仲良くやりたいものだがな。」
英太が撫子に好意的な発言をするたびに、イラつくお香。
英太はお香の家を好きに使っている手前、当初、チャイ男敷地内に建てられたお茶室を「いいじゃん!」と賛美していた。
でも、最近はどうやら様子が違うらしい。
サロン経営が起動に乗った頃、撫子の弟スサオ(関東軍)がお茶室の事を「外国の別荘を持てた!しかも、すっげーサロンだし!」と、勘違いでテンションがあがり、やんちゃして周りに迷惑を振りまいている。スサオは、お茶室の物は独り占めにしたがり、自分の家族以外は追い出しにかかっていた。
英太も目の敵にされていた。
「スサオ、あいつ、マジでクレイジーだぜ?」とある日、英太がお香に語った。ビジネスの事を基本、お香には話さない彼が珍しく彼女に弱音を吐いたのだ。
「あいつさ、マジ変わってるよ。俺ら外国人に嫌われてるのは当然だけどさ、撫子や他の家族にも嫌われてんだよ。でも、厄介なのがスサオが一番喧嘩っ早くて、乱暴なんだよ。」
英太の話を聞け、彼の弱さを垣間見れたお香は、心踊った。撫子とのビジネスがうまくいかなくていい、スサオがこのまま暴れまわって英太を困らせばいいと願った。
しかし、スサオはそんな甘くはなかったのだ。しばらくして、自分が大きな変動の渦に巻き込まれるとは、まだ気付かないお香だった。